18世紀の産業革命以来、人類は化石燃料を活用して、生産の拡大を図ってきました。 その結果、人類の経済活動は地球を破壊する時代の到来を呼び起こしています。
斎藤幸平(大阪市立大学大学院准教授)さんは皆さんと同世代の若者ですが、現代を「人新世」(ひとしんせい)と捉え、人類の脅威を回避するためには、現状のSDGsをはじめとした環境等の対策では根本解決にはならないとしています。
そこで、新年でもありますので、私たちの大切な子ども世代に、健康で、良き環境で、人間的に十分な「教育の社会」を作り上げるために私たちがやらねばならない責任はなにかを考えてみたい。
今、私たちは、地球のすみずみまで、人間が作った道路やビル、河川敷、農地などの中に暮らしています。
海に目を向ければ、海洋はプラスチックゴミだらけ。大気には、拡大する経済活動のせいで、二酸化炭素が増え続けています。 さらにはプルトニウムやセシウムが飛んでいる地域もある。とにかくどこに行っても、人類の生存の危機が到来しています。
しかしながら、13世紀のフビライカーンが多くの人々を殺戮し、建物等を焼き払い、破壊して世界を征服したと言っても地球の環境はびくともしませんでした。
現在は、気候変動の影響によって、スーパー台風、ハリケーン、山火事などの異常気象が発生しています。現在のコロナ禍も現在の人類が創り上げた科学技術が淵源だと思われます。
このまま、私たちが経済活動を継続した場合は、地球はますます温暖化が進み生存の危機が迫ってきます。
日本でも近年台風や洪水などの異常気象が発生していますが、なんとなく他人ごとのように考えている人が多いように思いますが、例えば、大量生産されるファスト・ファッション(流行を採り入れつつ低価格に抑えた衣料品を、大量生産し、短いサイクルで販売するブランドやその業態のことで、安くて早い「ファストフード」になぞらえた造語です。)の洋服のコットン(木綿)生産のためにインドの土地は疲弊し、労働者たちの健康は蝕まれています。
このまま現在の資本主義が続けば、ますますひどい事態になります。
政治・経済界の主流の人々は気候変動の危機の乗り越え方も、経済成長を促進して技術を発展させ、その技術で対処するという考え方が主流ですが、人々の考え方が変わらず、経済成長を指向する限り、二酸化炭素の削減は間に合わないと思われます。
斎藤さんは「コモン」が重要だといわれています。
「コモン」とは、農地、森林、河川の水も含めて、誰のものでもない人類共有のものという意味です。
この私たちの大事な「コモン」を、現在の資本主義によって独占されてしまったものを、もう一度人々のもとに取り返していくということが大事だと言われています。
さらに、イギリスの歴史学者トインビー博士が東洋の叡智を模索して池田大作氏に会談を申し込みして50年になります。
博士が西洋の科学技術文明に行き詰まりを感じ、会談を申し込んだといわれていますが、博士が注目したのが、仏教の「菩薩」という概念であったといわれています。
「菩薩」とは人のために無条件で働くことで、「利他の精神」が根本で、何よりも人間尊厳の考え方を堅持していることを意味してます。
つまり、国と社会においては「利他の精神」を堅持して、「コモン」を護ることが大事でないでしょうか。
さらに、人口67万人の国ブータンは「GNP (国民総生産)よりGNH (国民総幸福)が大事」との国家方針を堅持しています。
つまり、20世紀が「戦争の世紀」「経済の世紀」だったのに対し、21世紀を「人道の世紀」にしていくことが大事ではないでしょうか
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